夢は愚かな避難所

一生見られそうもないものなど、見たいとも思わぬ。

おれはおれの歌声がいちばん好き

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たとえ話ってのは面白いからぐんぐん読み進めてしまうしふつうに笑ったけど、ちょっと待てよ、と。

 

歌のうまさを図る指標はたしかにあるだろう、音域が広いとかビブラートが効いているとかロングブレスだとかリズム感があるとか声量があるとか……それを稲葉は完全にクリアしている。万人が上手いと思える歌手のひとりだとおもう。

 

でも人がグッとくる歌唱ってのはその基準だけでは測れない。トム・ウェイツの歌にだって泣けるし、オザケンの歌も青春から離れつつある俺の胸をうがつ。ビートたけしが素朴に「SEA SIDE WOMAN BLUES」歌うと、桑田よりも哀愁漂って素敵だ。つまり「歌うまいよな」と言われるにはいろんなアプローチがあるんじゃなかろうか。うーん、まあ歌がうまいってより、彼らの場合は味のある歌い方だってことになるんだろうけど、まあ、人の心を動かせる人の歌は、うまいと言ったって差し支えないとおれは思う。

 

猫の愛し方だっていろんなアプローチがある。猫の気ままさをただただ羨ましく思う愛し方とか、家にいるときは四六時中猫の肉球触り続けるとか、なにかを先鋭化させて愛せば、その31歳女性と渡り合える猫好きになれるんじゃなかろうか。

 

でも、わかるんだよな。おれだって映画好きって言ってたけど、映画好きの集まりに入って行ったらもうそんなこと言えなくなった。彼らがどれだけ映画館に足を運び集中してスクリーンを見つめ耳を澄ませているのか想像すらできない。だから、おれは自分の好きなジャンルだけに特化して映画をもっと好きになろうとか思ってみたけど、それは無理だった。もともとおれは映画を見ることが好きじゃないって気付かされただけだった。そういうことってある。

 

でもこのブログの筆者はまだ猫にこだわってるっぽい。だったら多分猫好きな自分を諦めることはないんだと思う、自分なりの愛し方を見つけられれば。

 

おれは映画好きな自分を半ばあきらめているけど、歌うことが好きな自分はあきらめていない。だって、稲葉より歌が下手でも、おれはおれの歌声の方が好きだからね。